日本商業学会

会長メッセージ

南知惠子

日本商業学会会長
南 知惠子(東京女子大学 教授/神戸大学 名誉教授)

2023年5月に第15代会長に就任し、2025年より2期目を務めています。2期目の学会執行部として、西ブロック副会長の崔容熏先生(同志社大学)、東ブロック副会長の芳賀康浩先生(青山学院大学)、本部理事の西岡健一先生(関西大学)とともに学会を運営してきました。

2026年5月30日、31日の2日間にわたり、神奈川大学みなとみらいキャンパスで全国研究大会が開催されましたが、理事総会にて、新倉貴士先生が(法政大学)が次期学会長に選出されました。翌年広島経済大学で開催される全国研究大会終了後に新執行部体制が立ち上がることになります。私の会長としての在任期間もあと1年を残すのみとなりましたが、学会の現状とこれまでの取り組みを振り返りつつ、今後進めていくことをここに述べたいと思います。

日本商業学会は1951年に商業学の発展のために設立されました。その後、研究対象を商業学に限定せず、マーケティング論、流通システム論、消費者行動研究等、関連する緒領域の発展に伴いそれらを包摂して研究対象を拡大し、学会として発展してきました。研究対象の広さと、ミクロ・マクロの両方の分析視角、理論、実証面における多様なアプローチを持つことが日本商業学会の特徴であると言えます。

学会長就任時には、日本商業学会の現在直面している課題として、1)日本商業学会としての独自性の追求、学会のアイデンティティの再認識、2)日本商業学会自体のグローバル環境下でのプレゼンスの向上、3)学会による若手研究者の育成、4)学会運営におけるIT化、デジタル化の推進を挙げました。

一つ目の課題について、日本商業学会としてのアイデンティティの再認識は、新興の関連領域の諸学会が発展・拡大し、学会どうしの棲み分けが進行するなかで、商業学会は「選ばれる」学会として、現学会員を維持し、新しく学界にポストを得る若い研究者を取り込んでいく必要があると認識しています。幸い、現状では学会員数を微増ですが増加させ、また院生、若手研究者の学会発表や参加数も増えてきています。魅力的な学会であるために、社会科学系の学会として、変化する環境に対し、常に先端的な研究テーマを探し、研究手法も進化させていく必要があります。

二つ目の、学会としてのグローバル環境下でのプレゼンスの向上については、GAMMAといった国際学会アライアンスの維持・強化を確認しつつ、院生の国際学会のドクトラル・コロキアムへの参加援助をする枠組みを作りました。院生・若手研究者にキャリアの早い段階においてグローバル・コミュニティで切磋琢磨し、学んだことを商業学会に還元してもらうことを期待しています。

学会誌は会員の成果発表、学術研究の公開という意味で重要な位置づけを持っています。グローバル環境下での日本商業学会員の研究成果の発信という点で、個々の研究者が国際ジャーナルへの採択が増えてきている状況で、学会誌を投稿先として選んでもらうにはどうした方針を持ち、活性化策を講じるべきかという喫緊の課題があります。そこで、学会誌『流通研究』と英文による学会誌『IJMD』を統合し、英文と和文の混合誌として『流通研究(IJMD)』誌へと再編しました。『流通研究(IJMD)』誌は将来的には英文誌へと変え、国際認証を取得し、国際誌としてオープン化することを目標として掲げています。一方で、『JSMDレビュー』誌も、学会誌としての位置づけを再認識し、エディトリアル・ボードを整え、独創性に富む研究を積極的に掲載する雑誌へと生まれ変わりました。ワークショップも開催されてきています。

三つ目の課題である若手育成については、全国研究大会、全国研究報告会でのドクトラル・セッションに加え、「夏の学校」の益々の充実化に関係者一同尽力しています。元来は「夏の学校」は著名な研究者に接し、学問的刺激を受けること、学生どうしのネットワーキングを活性化させることに主眼が置かれていました。しかし数年前より企画側・開催側がさらに工夫を凝らし、院生・若手研究者が自らの研究をいかに向上させるか、そのサポートになるような企画・構成が練られてきています。

四つ目の学会運営におけるIT化、デジタル化については、全国研究大会での配布資料のデジタル化をまず行いましたが、ウェブ・アクセスビリティへの対応を始めとする学会HP自体の改編も行っています。学会員の利便性を向上させるべく、まだまだIT化、デジタル化を推進すべきところは残っているかと思います。

上記の通り、2023年からのこれまでの執行部としての取り組みについて述べてきましたが、これらの取り組みを一層進め、次年度からの新執行部により学会がさらに発展していくよう、繋げていきたいと考えています。

2026年6月
第15代会長 南 知惠子

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